最近、SEMのオファーを受けるようになってきましたので、今回は基本中の基本を、おさらいの意味で紹介します。
今すぐ客とそのうち客
経験からして、検索広告は「今すぐ客」には有効ですが、「そのうち客」にはディスプレイ広告の方が有効です。
ECサイトのように、Web上で利益直結のコンバージョンが発生するような商品・サービスであれば、広義的な意味で「今すぐ客」と言えるかもしれませんが、リアル店に来て、初めてお金を落とすような(O2O)商品は、往々にしてWebサイト上のコンバージョンが「お問い合わせ」だったり「ダウンロード」だったりし、即お金に結び付かない、ジレンマがどうしても残ってしまいます。
なので、より多くのリードを獲得するには「これって自分のこと!?」と気づかせることが必要になりますので、受動的な認識、あるいはナーチャリング効果に期待したい、となるわけです。
検索の良さと、リマーケティングの良さを組み合わせた、検索リマーケティング(RLSA)と言う概念では、ディスプレイ広告などで取得した、リマーケティング対象ユーザーに限定し、検索広告を設定できるので、自分が育成した、そのうち客が今すぐ客になった時に、取りこぼしなく成果につなげやすくなります。
逆に言えば…圧倒的な費用投下で、根こそぎ持っていくライバル企業に対抗する、最良の手段かもしれません。
コスト パー アクション(CPA)の算出
SEMに代表されるような、いわゆる確実に効果測定が行える広告は、必ず効果を出すことが可能です。
一方テレビCMや雑誌広告など「視聴率」「購読率」のような、統計的数字をベースにした広告は根拠に乏しく、結果的に費用に見合った効果無し、なんてことが日常茶飯事だったりします。
(もちろん、その逆で想像以上に効果をもたらす場合も同じくらい存在します)
CPAとはCost Per Actionと言われ、「広告費用÷コンバージョン数」で求められますが、そもそも広告費用にいくらまでかけて良いのか?
と言う答えが分からないと思いますので、違う視点で求めてみます、分かりやすくするために条件を整えてみます。
エステサロン::
1回あたりの施術平均売上:10,000円
1回あたりの施術平均原価:500円
1回あたりの施術固定費(人件費、賃借料など):4,500円
10,000(売上)-500(原価)-4,500(固定費)=5,000円(利益)となります。
つまり、4,999円の広告費を投下し、1件決まれば、1円でも利益(プラス)が生まれることになりますので、1件あたり4,999円以内の広告費であれば、必ず儲かる、と言うことになります。
この場合、CPAは分かりやすく単純化すれば、5,000円と思えば良いと思います。
つまり、1件の獲得に最大5,000円まで広告費を投下しても大丈夫、となります。
コンバージョンレート(CVR)の算出
SEMの基本は、広告のクリックを通し、誘導したいWebページへ連れてくるまでが役割になりますので、そのページ、もしくはそのサイト内でコンバージョンが発生しないと、無意味になってしまいます。
なので、広告に限らず、自分のホームページにどれだけのユーザーが訪問し、どれだけのコンバージョンが発生しているか、把握することが大事になってきます。
(コンバージョンの意識が無いホームページはそこから考え直す必要があります)
例えば、毎日100ユーザー訪問している、コンバージョン目的のページがあったとします。
しかし、1か月間のコンバージョンは0、半年間のコンバージョンも0件だとしたらどうでしょうか?
広告費を投下し、倍の200ユーザー/日 に増やしても、理論上では、最低3ヶ月は0、と言う数字になってしまいます。
つまり、現状でもコンバージョンが発生していないページへ、いくら誘導しても結果が出ない、と言うことになります。
(分かりやすくするため極端な言い方しています)
CVR=コンバージョン÷訪問者数
コスト パー クリック(CPC)の算出
CPCは、広告クリック単価と思えば良いと思います。
つまり、利益を確保できる、1クリックは最大いくらまでかけていいのか?
となります。
許容できる獲得単価(CPA)と、サイト誘導後の獲得率(CVR)から許容できるCPCは、CPA×CVRで求められることになります。
以上、このCPAとCVRとCPCが基本となり、費用対効果を担保できる、SEM広告マネージメントが構成されることになるわけです。
ライフタイムバリュー(LTV)の考慮
LTVは、顧客生涯価値と呼ばれ、その顧客が生涯にわたり、どれだけの売上をもたらしてくれるのか?
そんなイメージで良いと思います。
生涯なんてフレーズを使うと、気が遠くなるように思いますので、ここでは分かりやすく「リピート回数」と考えればしっくりきます。
先のエステサロンの事例で、CPAを5,000円としましたが、仮に一度施術を受けた顧客の平均利用回数(リピート)を5回とした場合、新規顧客獲得で得られる利益は5,000円×5回で25,000円になります。
つまり、CPAは25,000円に上昇しますので、24,999円まで広告費を使っても利益が出せることになります。
余談ですが、テレビショッピングでよく見かける、健康サプリ関連商品の初回限定ディスカウント価格などは、リピートを前提にしたプロモーションです。
一方で、住宅やブライダルのような、リピートにそぐわない商品やサービスでは、その周辺商品(例えば住宅なら家具や家電、ブライダルなら新婚旅行や宝飾)を取り込むことで、売上につなげたいと考えています。
Google広告で言うHagakure(ハガクレ)構造とは
昨年、Googleアドワーズは、Google広告とその商品名を変えました。
実務ベースで使えるAI化の実装が、あえて、違う商品名(呼称)になって表れたのではないでしょうか。
数年前までのGoogle広告は、検索されるであろうキーワードを中心に、キャンペーンや広告グループを、細かく分けて運用する方法が、効果的と言われていました。
つまり、検索キーワード単位に違う文言の広告を作る、そんなイメージです。
これに対し、Googleからオフィシャルに推奨されているHagakure(元々はGoogle社内の開発コードネームだったようです)構造では、キーワードを中心にすると言うよりも、1コンテンツ1広告グループ、と言うように、可能な限りシンプルな構造にするイメージです。
なぜそのように推奨されるようになってきたかと言えば、おそらく進化したAIの台頭だと思います。
つまり、人間が色々考えるようりも、今この時も学習を続けているAIに任せた方が、より大きな成果に繋がるようになったからだと思います。
このAIが効果を発揮するには、ある程度ボリュームが必要になります。
100ケースから成功パターンを選んでくるよりも、10,000ケースから成功パターンを選ぶ方が、より精度の高い答えになるのは言うまでもありません。
Hagakure構造を意識すると言うことは、AIの恩恵を受けやすくするための一つだと考えています。
マイクロコンバージョン(中間コンバージョン)の設定が囁かれているのも、より多くのボリュームを得ないと、AIが十分機能を発揮できないからなんだと思います。
Google広告で言う”3A”とは
これは昨年の秋、Mtame(株)社の浅野氏がセミナーで推奨していたことなんですが、「これからは”3A”が基本です」と言う内容でした。
Audience(オーディエンス):認知・興味関心層の獲得
Automation(オートメーション):最適な入札額
Attribution(アトリビューション):正しいデータ分析
これらの各 ”A” は、Google広告の機能としてインクルードされているので、意識して利用することが大事になります。
機会があれば、続けて紹介したいと思います。